BtoBのカスタマージャーニーマップの作成方法を紹介!作成ポイントも
顧客が製品やサービスを知ってから、購買に至るまでの道のりを可視化したものを「カスタマージャーニーマップ」といいます。カスタマージャーニーマップはBtoCとBtoBどちらのビジネスにも活用されていますが、両者は作成方法が異なります。本記事ではBtoBビジネスにおけるカスタマージャーニーマップの作成方法について、さらには作成のポイントを解説します。
- 1. BtoBでカスタマージャーニーマップが必要な理由
- 2. BtoBでカスタマージャーニーマップを作るメリット
- 2.1. チームで施策や情報の共有が可能
- 2.2. 顧客行動の可視化ができる
- 2.3. 顧客との適切なタッチポイントが見える
- 3. BtoBのカスタマージャーニーマップの作成方法
- 3.1. 目標・期間の設定
- 3.2. ペルソナの設定
- 3.3. 顧客行動の洗い出し
- 3.4. 顧客行動を時系列ごとに段階分けする
- 3.5. 顧客心理の洗い出し
- 3.6. 顧客とのタッチポイントを設定する
- 3.7. マッピングとKPIの設定をする
- 4. BtoBのカスタマージャーニーマップを作成する際のポイント
- 4.1. 購買に関わる関係者情報を網羅する
- 4.2. 関係者ごとの対策を複数用意する
- 4.3. 競合企業のカスタマージャーニーと比較をする
- 5. まとめ
BtoBでカスタマージャーニーマップが必要な理由
カスタマージャーニーとは、顧客が製品やサービスを知ったところから、購入や契約に至るまでの道のりのことを旅に例えたものです。そしてその道のりを可視化したものを、カスタマージャーニーマップと呼びます。
カスタマージャーニーマップはBtoBもBtoCにおいても活用されますが、両者の購買プロセスはそれぞれ異なります。BtoCの場合顧客は個人になるため、購買プロセスは短くなることが多いです。
一方でBtoBの場合、顧客は企業になります。企業の場合は購入・契約に至るまでに稟議や承認が必要になり、さらに関わる人も多いことから、購買プロセスはBtoCより長くなるのが特徴です。そのため、BtoCよりも詳細なカスタマージャーニーマップが必要になります。
BtoBでカスタマージャーニーマップを作るメリット
カスタマージャーニーマップを作成するメリットを解説します。
チームで施策や情報の共有が可能
施策の計画から実行に至るまでには、マーケティングや開発、営業など複数の部署がチームとなって取り組むものです。しかし、施策に関わる人が多くなればなるほど情報の共有は難しくなり、認識のズレが起こりやすくなってしまいます。そこで、顧客行動や施策の目的を可視化したカスタマージャーニーマップを活用することで、チームで施策や情報を共有しやすくなります。
顧客行動の可視化ができる
カスタマージャーニーマップは顧客の行動や心理変化を、時系列に沿って可視化する方法です。カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客の心理や行動の変化を可視化でき、フェーズごとに適切なマーケティングが可能になります。
顧客との適切なタッチポイントが見える
企業視点の施策では、顧客と良好な関係性は築けません。そこで重要になるのが、カスタマージャーニーマップで施策の弱点を可視化することです。弱点を把握できるようになると、適切なタッチポイントがみえやすくなり、顧客との関係性が築きやすくなります。
BtoBのカスタマージャーニーマップの作成方法
BtoBの購買プロセスはBtoCに比べて複雑なため、カスタマージャーニーマップに起こして整理することが大切です。
目標・期間の設定
カスタマージャーニーマップを作成するには、まず施策の目標と目標達成までの期間を設定します。今解決したい課題を明確にし、そのうえでスタート地点とゴール地点、必要な期間を決定しましょう。
(例)
スタート地点 | コールセンターの応答率が低く、受注につなげられない。 |
ゴール地点 | システムを導入したことで業務効率が改善。応答率が上がり受注数が増えた。 |
期間 | 4ヶ月 |
ペルソナの設定
次に、施策のターゲットとなるペルソナを決めていきます。BtoCの場合ペルソナは個人ですが、BtoBにおいては「企業」と「企業に属する決裁者」の2つのペルソナを設定する必要があります。また、BtoBの場合、購入に至るまでに関わる人が多いため、決裁者の周りの関係者のことも想定しておくとより具体的になります。
顧客行動の洗い出し
ペルソナが製品やサービスを認知してから購入までに取りそうな行動を、できるだけ具体的に洗い出していきます。たとえばペルソナがシステムの導入を検討しているのであれば、まずはウェブ上で検索をするかもしれません。その後は資料請求をしたり問い合わせをしたりなど、顧客が取ると思われる行動を書き出していきましょう。
顧客行動を時系列ごとに段階分けする
次に、洗い出した顧客行動を時系列ごとに段階分けしていきます。段階分けする方法に決まりはありませんが、以下の8つの段階に分けて考えるのが一般的な方法です。
時系列ごとの段階 | 顧客の行動 |
製品・サービスの認知 | ウェブ上で検索、インターネット広告で見つける |
情報収集 | 資料請求や問い合わせで詳細を調べる |
比較検討 | 他社製品と比較し優劣をつける |
意思決定 | 商談で製品について詳しく確認する |
稟議・承認 | 稟議にかけて承認を得る |
購入 | 購入・契約を結ぶ |
評価 | 実際に運用を開始する |
再購入・リピート | アフターフォローを受けて業務改善をおこなう |
顧客心理の洗い出し
次に、顧客の心理変化の洗い出しをおこないます。顧客の心理をカスタマージャーニーマップに落とし込めると、より顧客に寄り添ったマーケティングを行えるでしょう。注意点として、企業が顧客に感じてほしい心理を想定するのではなく、顧客が実際に感じそうな心理を想定することが大切です。
顧客とのタッチポイントを設定する
顧客の行動と心理変化を踏まえて、顧客とのタッチポイントを設定していきます。たとえば、顧客が製品についてウェブ上で検索し資料請求をすると想定します。資料請求をするということは製品の詳細を知りたいと思っている可能性が高いです。ならばタッチポイントとして問い合わせフォームを設置しておけば、顧客との接点を作れます。
マッピングとKPIの設定をする
顧客の「行動」「心理変化」「自社とのタッチポイント」を設定したら、実際にマッピングをしていきましょう。マッピングすると新たな課題がみえて、想定した顧客行動が逸脱していることに気づけるかもしれません。
また、施策の目標に対して進捗度合いを評価するために、KPIを設定して施策の改善と実行を繰り返すことが大切です。KPIを確認しながら施策を実施することで、目標達成がより具体化するでしょう。
BtoBのカスタマージャーニーマップを作成する際のポイント
購買に関わる関係者が多いBtoBのビジネスは、ペルソナ以外の存在にも留意する必要があります。
購買に関わる関係者情報を網羅する
BtoBでは購買に関わる関係者が多いため、企業と決裁者だけでなく関係者情報を網羅する必要があります。ペルソナを想定する際は、以下の事項について想定しておくのがおすすめです。
【企業ペルソナを設定する】
- 業種
- 事業内容
- 売上の規模
- 企業の所在地
- 従業員数
- 企業風土
- 事業における課題 など
関係者ごとの対策を複数用意する
企業の場合、製品やサービスを認知する人物と最終的に意思決定をする人物が異なるケースも多いです。そのため、関係者ごとの対策を複数用意する必要があります。購入者はどのようなタイミングで製品を見つけるのか、購入を検討する人はどのような情報を基に検討するのか、決裁者が決定に踏み切るポイントなどを考えることが大切です。
競合企業のカスタマージャーニーと比較をする
競合企業のカスタマージャーニーと比較をすると、自社の弱みを見出しやすくなります。また、競合企業のカスタマージャーニーを参考にすることで、自社に足りない点を補うこともできるでしょう。さらに競合企業と差別化を図るうえでも、カスタマージャーニーの比較が重要になります。
まとめ
BtoBのカスタマージャーニーマップを作成する際は、ペルソナを企業と決裁者の2つ設定する必要があります。また、購買に関わる関係者も多いことから、ジャーニーマップに盛り込む情報はBtoCより複雑です。しかしカスタマージャーニーマップを活用して情報を整理できれば、効果的なマーケティング施策に役立つでしょう。