CX(カスタマーエクスペリエンス)戦略とは?重要な理由や成功ポイントを解説
CX(カスタマーエクスペリエンス)戦略とは、顧客が製品やサービスに触れるすべての過程に価値を置いたマーケティング戦略のことを指します。本記事ではCX(カスタマーエクスペリエンス)戦略が重要な理由と、成功ポイントを解説します。
- 1. CX(カスタマーエクスペリエンス)戦略とは?
- 2. CX(カスタマーエクスペリエンス)戦略が重要な理由
- 2.1. LTVの最大化につながる
- 2.2. 競合との差別化につながる
- 2.3. 口コミによる新規顧客獲得につながる
- 2.4. ブランディングにつながる
- 2.5. 顧客ロイヤルティにつながる
- 3. CX(カスタマーエクスペリエンス)戦略の具体的な進め方
- 3.1. 顧客の現状把握と分析
- 3.2. 課題の明確化と策定
- 3.3. KPIの設定
- 3.4. CXの計測を行う
- 3.5. PDCAを回す
- 3.6. 課題は部署間で共有をする
- 4. CX(カスタマーエクスペリエンス)戦略の計測に必要な指標とは?
- 4.1. 顧客満足度
- 4.2. NPS
- 4.3. eNPS
- 4.4. 平均解決時間
- 5. CX(カスタマーエクスペリエンス)戦略を成功させるためのポイント
- 5.1. 顧客データの一元管理をする
- 5.2. 多様なチャネルを構築する
- 5.3. パーソナライズしたCXを実施する
- 5.4. チャットボットの強化を図る
- 6. まとめ
CX(カスタマーエクスペリエンス)戦略とは?
CX(カスタマーエクスペリエンス)とは、顧客が製品やサービスを知ったところから購入後まで、すべての顧客体験に価値を置く概念です。そしてCX戦略とは、カスタマーエクスペリエンスの概念に重きを置いた、マーケティング戦略のことを指します。
これまでの顧客ニーズは、製品やサービスの機能的価値が重要視されていました。しかし商品や情報が溢れた今、機能的な価値だけでは競合他社と差別化を図ることは難しくなっています。そこで他社と差別化を図るため、CX戦略による差別化が注目されるようになりました。
CX(カスタマーエクスペリエンス)戦略が重要な理由
カスタマーエクスペリエンスを向上させる、CX戦略が重要な理由を解説します。
LTVの最大化につながる
CX戦略により顧客ロイヤルティが向上すると、リピーターやロイヤルカスタマー獲得につながり、LTVの最大化が期待できるでしょう。製品に愛着を持ってリピートしてくれる顧客を増やすほうが、新規顧客を獲得するより安定的にLTVを向上させられます。
競合との差別化につながる
製品やサービスの機能性で差別化を図るのが難しくなった今、差別化するには優れた顧客体験を提供しなければなりません。顧客が製品やサービスを知った段階から購入後までにおいて、心理的な価値を提供して差別化につなげていくことが重要です。
口コミによる新規顧客獲得につながる
CX戦略によりリピーターやロイヤルカスタマーが増えると、商品やサービスの良さをSNSや口コミなどで発信してくれることがあります。中立的な立場にある顧客からの発信は、新規顧客獲得に効果的です。
ブランディングにつながる
価値あるCXを提供できれば、顧客はブランドに対して好感を持つようになります。ブランド自体に価値を感じてもらえるとブランド力が確立し、アップセルやクロスセルなど利益拡大につながります。
顧客ロイヤルティにつながる
CX戦略で購買意欲を促す顧客体験を提供できると、顧客ロイヤルティの向上につながります。顧客ロイヤルティの高い顧客はリピート率が高く、売り上げアップやLTV向上も期待できるでしょう。
CX(カスタマーエクスペリエンス)戦略の具体的な進め方
CX戦略を成功させるための、具体的な進め方をご紹介します。
顧客の現状把握と分析
顧客が自社に対してどのようなイメージを持っているか、顧客満足度調査などを通して現状把握からはじめます。顧客体験の現状を把握するには顧客行動を、情報収集・購入・利用の3つの段階に分けて考えるのがよいでしょう。
課題の明確化と策定
段階ごとにCXの現状把握ができたら、課題を明確化してCX戦略の策定を行います。CX戦略を策定する際は、顧客の本当のニーズを捉えているか、顧客の期待を超えるCXを提供できるかを重視するのがポイントです。
KPIの設定
CXを向上させるには、課題に対して実行した施策が効果的になっているかを把握することが大切です。施策の効果を測る際は、KPIを設定しておくのがよいでしょう。課題に対してどれだけ達成できたかを数値で確認できます。
CXの計測を行う
CX戦略を事項する前に、CXの効果を計測する指標を決めておきましょう。CXの計測にはNPS(推奨度)やCES(顧客努力度)などの指標が使われます。顧客ニーズは日々変化するため、定期的に計測を行うことが大切です。
PDCAを回す
CX戦略を実行した後は、設定したKPIに対する状況を振り返り改善を繰り返すことが重要です。KPIによりどの程度目標を達成できたのかを測り、PDCAを回して課題改善に取り組みましょう。
課題は部署間で共有をする
CXは製品やサービスを購入することだけでなく、製品やサービスの認知から購入後までの体験が評価の対象です。そのためCXを向上させるには、各部署だけで対応するのではなく、部署間で課題を共有して企業全体で取り組む必要があります。
CX(カスタマーエクスペリエンス)戦略の計測に必要な指標とは?
CX戦略が効果的に実施されているかを計測できる、指標をご紹介します。
顧客満足度
顧客満足度を計測することで、顧客が自社にどんなイメージを持っているか現状を把握できます。計測方法は郵送や電話、ウェブサイトからなどアンケートを実施する方法が多いです。
NPS
NPSとは「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略称で、製品やサービスに対する顧客満足度だけでなく、その製品やサービスを知人にどれだけ推奨したいかを計測するものです。数値を出す方法は、製品やサービスを知人にどの程度進めたいかを0〜11の度合いで評価してもらいます。そして9,10をつけた人の割合から、0〜6をつけた人の割合を引いて計算しましょう。
eNPS
eNPSとは「Employee Net Promoter Score(エンプロイー・ネット・プロモーター・スコア)」の略称で、従業員がどれだけ自社の製品やサービスに愛着を持っているかを示す数値です。計測方法は、NPSのアンケートを従業員に向けて同様に実施します。従業員が満足して働ける環境ほどサービス品質の向上につながり、結果的にCX向上につながります。
平均解決時間
平均解決時間は、顧客の問い合わせを解決するのにどの程度時間がかかるか平均値を見る方法です。解決時間が短いほど顧客満足度は高いといえ、CX向上につながります。
CX(カスタマーエクスペリエンス)戦略を成功させるためのポイント
CX戦略を成功させるためには、以下のポイントを抑えることが重要です。
顧客データの一元管理をする
CX戦略を進めていくには、顧客データを一元管理して活用できる仕組みが必要です。顧客データを各部門で管理していると、一貫性のある対応ができません。顧客との接点ごとに異なる対応をしてしまうと顧客を困惑させてしまい、客離れを引き起こす可能性があります。
多様なチャネルを構築する
これまでのコールセンターではオペレーターによる電話対応が主流でした。しかしIT技術が進んだ今、電話対応だけでなくメールやチャットなどチャネルが増加しています。多様なチャネルを構築して顧客自身にチャネルを選択してもらうこともCX向上に効果的です。
パーソナライズしたCXを実施する
パーソナライズとは、一人の顧客に着目して「自分のために作られたもの」と感じてもらう体験を提供することです。顧客の視点から顧客体験価値を考え、CX戦略を実施することが重要です。
チャットボットの強化を図る
チャットボットとは、あらかじめ問い合わせ内容と回答を登録しておき、最適な回答を自動的に行うためのシステムです。チャットボットを強化できれば、顧客の悩みを迅速に解消でき、CX向上が期待できます。
まとめ
CX戦略とは、物やサービスが溢れる現代において、競合他社に差をつける重要な要素です。CX戦略を成功させるには、顧客が製品やサービスを知ったところから購入後に至るまで、すべての過程で価値を提供することがポイントになります。CX戦略の成功が実現すれば、顧客ロイヤルティの向上やLTVの最大化が期待できるでしょう。