コールセンターの放棄呼とは?対策方法や発生理由を解説
「放棄呼(ほうきこ)」とはコールセンター用語のひとつで、お客様がコールセンターに電話をかけながらオペレーターにつながる前に切断することを指します。
- 1. 放棄呼とは?
- 1.1. あふれ呼との違い
- 1.2. 放棄呼率の算出方法
- 2. 放棄呼の対策をしない場合のデメリット
- 2.1. 顧客満足度の低下
- 2.2. サービスの機会の損失
- 2.3. 企業イメージの低下
- 2.4. オペレーターの業務負担に繋がる
- 3. 放棄呼はなぜ発生するのか?理由を解説
- 3.1. 自動音声システムの操作が複雑
- 3.2. オペレーター対応までに時間がかかる
- 3.3. オペレーターの人員不足や知識不足
- 4. 放棄呼の具体的な対策方法
- 4.1. コールバックシステムの導入
- 4.2. オペレーターの稼働率を見直す
- 4.3. オペレーターの配置の見直しと増員の検討
- 4.4. 既存の自動音声システムの操作方法の見直し
- 4.5. 既存システムに新たなシステムを追加する
放棄呼とは?
あふれ呼との違い
「あふれ呼」はピーク時などにコールセンターにかかってきた電話の本数が用意した回線数を上回って「ビジー状態」でつながらず、文字どおり「あふれた呼」になることを指します。またオペレーターが足りず電話に出ることができなかった場合も「あふれ呼」に含まれます。お客様が「あふれ呼」の状態でつながるまで待ちきれずに電話を切ってしまうことを「放棄呼(ほうきこ)」といいます。
放棄呼率の算出方法
お客様が、オペレーターにつながる前に回線を切ってしまった件数の割合を「放棄呼率」といいます。放棄呼の発生はサービスを提供する機会を損失したことになるため、放棄呼率は低い方が望ましいことになります。
「放棄呼率の計算方法:放棄された件数(放棄呼数)÷コールセンターへの着信件数=放棄呼率」
たとえばコールセンターに1日あたり1,000件の着信があり、そのうち50件が放棄呼(対応できずに回線が切れた)だった場合は「50÷1,000=5%」になります。一般的に放棄呼率は10~20%以内が理想的といわれます。
放棄呼の対策をしない場合のデメリット
放棄呼を軽視してしまうと、企業にとって大きな損失となりかねません。たとえば次のようなデメリットが考えられます。
顧客満足度の低下
お客様が企業のサービスにどの程度満足したかを知るための指標に「CES」があります。CESはCustomer Effort Scoreの略語で「顧客努力指標」を意味します。CESは顧客調査によって商品やサービスを利用した際に感じた負担度を数値化したもので、指標が高いほど負担感が大きく、お客様の満足度は低いことになります。CESによる指標が悪化した場合は放棄呼の影響を疑い速やかに対策を打つ必要があります。
サービスの機会の損失
機会損失とはサービスを提供することによって企業の利益につながる可能性を失うことで「チャンスロス」と呼ばれることもあります。
お客様がコールセンターに電話してくる理由として、商品やサービスにおけるトラブルのほかに、商品の購入希望や資料請求が考えられます。放棄呼はせっかくかけてくれた電話の回線がつながらないため、その機会を逃がすことになるのです。トラブルについても電話に出ることができなければ、商品やサービスの改善に役立つ貴重な情報を得られないためやはり機会損失となります。
企業イメージの低下
放棄呼の対策を打たないままにしていると、「このコールセンターはいつも電話がつながらない」という認識が広がり、コールセンターのイメージがやがて企業として信頼低下を招いてしまいます。メージダウンした信頼を回復するのはかなりの努力を要します。そうならないためにも放棄呼の対策は重要といえるでしょう。
オペレーターの業務負担に繋がる
コールセンターによってはオペレーターが放棄呼に対してコールバックすることをマニュアル化している場合があります。オペレーターはコールバックする作業が増えるため、その時間は本来の電話対応ができず、新たな放棄呼につながる可能性があります。放棄呼が連鎖的に発生してしまうと、オペレーターは大量な電話に対応しなければならず、サービスの低下やミスが増えることになりかねません。
放棄呼はなぜ発生するのか?理由を解説
放棄呼を減らすには発生する理由を把握しなければなりません。理由は状況によって違う可能性があり、たとえば次のようなことが考えられます。
自動音声システムの操作が複雑
IVRを導入しているコールセンターは少なくありません。IVRとはInteractive Voice Responseの略で「自動音声応答システム」を意味します。お客様がコールセンターに電話をかけると自動音声による「商品のお問合せはダイヤルの1番を押してください」といった案内を聞いて自分で操作するシステムです。
本来はお客様を希望する窓口に案内することで、用件に適したオペレーターとつなぐことを目的とした機能ですが、操作が複雑過ぎて逆効果になるリスクがあります。音声案内が分かり難い、長すぎた場合はお客様がわずらわしくなって途中で電話を切ってしまう可能性があるからです。
オペレーター対応までに時間がかかる
オペレーター側の問題で放棄呼が発生することもあり得ます。お客様からかかってきた電話に出たオペレーターが案件に対して「窓口が違うから」と待たせて、詳しい担当者に相談してスムーズに進行しないと混雑しているように感じられてしまいます。そのような状況で問い合わせに対応する時間が長すぎると電話を切られてしまうこともあるため、注意が必要です。
オペレーターの人員不足や知識不足
コールセンターにかかってくる電話件数に対して十分に対応できるオペレーターの人員が揃っていない場合、お客様からの電話に出ることができない「あふれ呼」が発生します。「待ち呼」ともいわれ、自動音声で「ただいま電話が大変混み合っております。しばらくお待ちください」と案内するような状況です。
またオペレーターの数が足りていて電話に出ることができたとしても、的確に対応できる知識がなければ、要領を得ないまま回答に時間がかかってしまい放棄呼につながります。
放棄呼の具体的な対策方法
放棄呼が発生する理由が分かれば、次のような対策を講じることができます。
コールバックシステムの導入
お客様を待たせることなく、納得していただいたうえで折り返し電話するコールバックシステムを導入すれば、放棄呼による機会損失を減らすことが可能です。またオペレーターもお客様がイライラすることによるプレッシャーを感じることがなくなり、ストレスをため込まずに済みます。
オペレーターの稼働率を見直す
コールセンターにおけるオペレーターの稼働率は、勤務時間に対する業務時間の割合で表わします。コールセンターによって「勤務時間」の捉え方はさまざまですが、基本的に「稼働率 = 顧客対応時間 ÷ 勤務時間」の計算式で算出します。稼働率の目安は 80~85%が適正ラインとされ、70%未満になると見直しが必要といわれます。
オペレーターの配置の見直しと増員の検討
コールセンターの人員を最適化するマネジメントシステムにWFMがあります。Work Force Managementの略で「コールの量と人員配置を最適化する」方法として知られます。曜日や時間帯、季節、繁閑期の状況などによる入電傾向を分析することで必要人員を予測し、オペレーターのスキルやシフト希望まで考慮したうえで適切な人員配置を可能にします。
既存の自動音声システムの操作方法の見直し
お客様が自動音声システムの操作が複雑過ぎて電話を切るリスクを回避するには、音声案内の設定を分かりやすくして、案内方法も簡潔にする必要があります。従来のようにお客様が音声案内の指示を聞き逃さないように集中して、電話の番号を何度もプッシュしなければならない方法を見直すときかもしれません。
既存システムに新たなシステムを追加する
コールセンターでオペレーターが対応する方法はこれまでの貴重な経験が積み上げられているので、WFMを導入することなどによって改善しながら残していく必要があります。そうした既存のシステムにコールバックを活用した新しいシステムを加えることによって、さらに放棄呼を減らすことが可能になります。
放棄呼対策にはコールバックシステム搭載の「Good Customer」がおすすめ
たとえば新しいシステム「Good Customer」はお客様が自身のPCやスマートフォンなどでWebアプリケーションを通じて問い合わせするため、電話がつながらずにイライラすることがありません。
従来は音声案内を聞きながら行っていた操作を、スマホアプリによる質問に答えてタップしていくだけで簡単に問い合わせでき、コールバックの時間案内を確認して、後は電話連絡を待つだけです。コールセンターに電話したお客様を待たせるというこれまでの仕組みを変えることによって放棄呼対策になり、案件に詳しい担当が的確に対応するためクレームの減少も期待できます。