クラウド電話(クラウドPBX)とは?固定電話回線をクラウド化するメリットデメリットを解説
電話環境を構築するサービスであるクラウド電話(クラウドPBX)のしくみとメリットデメリットについて解説します。
- 1. クラウド電話(クラウドPBX)とは?
- 1.1. 固定電話回線をクラウド化すること
- 1.2. クラウド電話に対応する端末は?
- 1.2.1. スマホ
- 1.2.2. タブレット・PC
- 1.2.3. ソフトフォン
- 1.2.4. IP電話対応の固定電話
- 1.2.5. 普通の固定電話端末は使用可能?
- 2. クラウド電話(クラウドPBX)のメリット
- 2.1. スマホをビジネスフォン端末として利用できる
- 2.2. 場所を問わず固定電話番号の受電が可能
- 2.3. 工事不要でスピーディーな導入ができる
- 2.4. 通話料がビジネスフォンよりも安い
- 3. クラウド電話(クラウドPBX)のデメリット
- 3.1. インターネット回線が必要
- 3.2. 利用できない番号がある
- 4. クラウド電話(クラウドPBX)で既存の固定電話番号使う方法
- 5. クラウド電話を選ぶ際のポイント
- 5.1. 自社に必要な付属機能で選ぶ
- 5.2. 導入コスト・ランニングコストを比較する
- 6. まとめ
クラウド電話(クラウドPBX)とは?
固定電話回線をクラウド化すること
クラウド電話(クラウドPBX)とは、固定電話回線に代えてインターネット回線を活用することで新たな電話環境を構築するサービスです。自社とは別のところにある「クラウド(雲)」とアクセスするシステムなのでオフィスに必要最低限の設定を行うだけで導入することが可能です。
クラウド電話に対応する端末は?
スマホ
クラウドPBXはスマホ(スマートフォン)に対応していることが大きな特徴ですが、ほかにも次のような端末に対応可能です。
タブレット・PC
クラウド電話は社内のパソコン(PC)だけでなく個人のPCやタブレット端末にも対応可能です。タブレットは軽量でバッテリー駆動性に優れているためクラウドPBXによって社外との連携など活用の幅が広がります。
ソフトフォン
ソフトフォンは、パソコンなど本来は電話機能を持たない端末にソフトウェア(アプリ)をインストールして電話として活用する「IP電話」のひとつです。
IP電話対応の固定電話
NTTはいわゆる「加入電話」とされるアナログ回線とISDN回線(デジタル回線)による固定電話を、回線網に必要不可欠な中継交換機の老朽化などが進んだため2024年に廃止するとしています。現在、固定電話機の使用状況は「IP電話」が主流となっています。
普通の固定電話端末は使用可能?
従来の固定電話端末はインターネット回線を経由したIP電話として使用可能です。ただし固定電話を新たにIP電話とする場合は電話番号が変わる可能性があるため注意が必要です。
クラウド電話(クラウドPBX)のメリット
オフィスなどで業務のために利用する電話システムを「ビジネスフォン」と呼びます。従来のビジネスフォンは固定電話回線につながる主装置と複数の専用電話機を組み合わせてシステムを構築します。主装置は小型の交換機にあたりますが、近年は高機能なことから「機内交換機」と呼ばれるPBX(Private Branch Exchange)を使用する企業が増えています。
スマホをビジネスフォン端末として利用できる
主装置となるPBXを社内に設置するタイプを「オンプレミス型PBX」と呼びます。「クラウドPBX」は自社で機器を保有せず、インターネット回線を経由してクラウド上でPBXを使用するタイプになります。
クラウドPBXの場合、従業員のスマートフォンに専用のアプリケーションをインストールしてパスワードなどを設定すれば、会社の電話番号で発信・着信から保留・転送まできるビジネスフォンとして利用することが可能です。
場所を問わず固定電話番号の受電が可能
オフィスで社員が固定席を持たずにモバイルノートパソコンなどを使って、仕事内容に合わせて席を移動する「フリーアドレス」というワークスタイルや、自宅からパソコンを使ってインターネットで会社につないで業務を行う「テレワーク」が一般的になりました。
会社の固定電話番号に顧客や取引先から電話がかかってきた際に、クラウドPBXならばスマホやモバイルノートパソコンで直接出ることができるため取り次ぐ必要がありません。また自宅でテレワーク中に会社の固定電話にかかってきた電話を受電することも可能です。
工事不要でスピーディーな導入ができる
従来の固定電話回線でビジネスフォンのシステムを構築するには、主装置や専用電話機を設置して配線工事を行う必要がありました。しかしクラウドPBXはパソコンがWi-FiかLANケーブルでつながっていれば、簡単な設定をするだけです。オフィスのレイアウトを変更するときも社員だけですぐに行えます。
通話料がビジネスフォンよりも安い
クラウド電話(クラウドPBX)ならばオフィス内と社外であってもつながった端末同士は内線と同じように無料で通話できます。インターネット回線を経由するため国際通話でも通話料が安くて済みます。
クラウド電話(クラウドPBX)のデメリット
クラウド電話(クラウドPBX)は使い勝手や費用面でメリットがありますが、デメリットがないわけではありません。
インターネット回線が必要
クラウドPBXは自社外にある「クラウド」上のサーバーからスマホやパソコンといった端末を制御するサービスになります。そのためオフィスにネット環境がなければ使えません。現在は多くの会社がインターネット環境を構築していますが、もしまだならばまずはインターネット回線が必要です。
利用できない番号がある
クラウドPBXを使ったビジネスフォンはインターネット回線を経由するため、NTTの固定電話回線とは異なり発信できない番号があります。警察「110」、救急「119」、海上「118」等の緊急通報は位置情報が通報先に伝わらないため使えません。また天気予報「177」、時報「117」、電報「115」、ナビダイヤル「0570」などNTT独自サービスの番号にもかけられません。
クラウド電話(クラウドPBX)で既存の固定電話番号使う方法
NTT光インターネット回線を利用した場合はそれまで使っていた市外局番の引継ぎや市外局番の新規発番が可能です。
また番号ポータビリティに対応しているクラウドPBXサービスならば「NTTの一般加入電話」、「ISDN電話で取得した電話番号」、「移転先が市外局番のエリア内」などの諸要件を満たせば以前から使っていた固定電話番号をそのまま使うことが可能です。
クラウド電話を選ぶ際のポイント
クラウド電話(クラウドPBX)の数あるサービスから選ぶには、いくつかのポイントがあります。特に機能面と費用がどれくらいかかるかは念入りに検討しましょう。
自社に必要な付属機能で選ぶ
クラウドPBXを導入するにあたり自社でどのように活用したいのか、イメージしたうえで必要な機能があるサービスを選ぶとよいでしょう。
たとえばスマホやPCから自社の番号と名前で電話の発着信ができる「代表電話発着信」の機能。また顧客からの電話に誰でも対応できるように、複数の電話機で受信できる「同時一斉着信(グループ着信)」機能などを確認しておきましょう。
導入コスト・ランニングコストを比較する
クラウド電話(クラウドPBX)を導入するにあたり「オンプレミス型PBX」タイプと比較することでそれぞれの特徴がよく分かります。
オンプレミスPBXは機器類を揃え、配線工事が必要なため初期投資が高額になるのに対して、クラウドPBXは初期費用が少額で済みますがサービスの利用料が毎月発生するためランニングコストがかかります。システムの規模で違ってくるので試算しておきましょう。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。ADSLのインターネット回線は2024年3月末をもって全てのサービスが終了し、光回線に以降するなどネット環境が変化するなか、クラウド電話(クラウドPBX)もさまざまなサービスが増えてきました。これから導入される際に、少しでもお役に立てば幸いです。