コールフローとは?メリットや構築する際の注意点を解説
顧客満足度を向上させるためには、コールセンターの生産性をUPする必要があります。
その鍵となるのが「コールフロー」です。
コールフローを適切に設定すれば、オペレーターの負担軽減や顧客満足度の向上につながるだけでなく、競合との差別化を図り、企業の信頼性を高めることも可能です。
本記事では、コールフローの作成方法と注意点について詳しく解説します。コールフローの作成の参考にしてください。
- 1. コールフローとは?
- 2. コールフローを構築する重要性
- 3. コールフローを構築するメリット
- 3.1. 顧客ロイヤルティに繋がる
- 3.2. 顧客満足度の向上に繋がる
- 4. コールフローの構築に必要なシステム
- 4.1. IVRシステム
- 4.2. ACDシステム
- 5. コールフローを構築する際の注意点
- 5.1. 振り分け階層の増やしすぎに注意する
- 5.2. 自動音声システムは端的に設定する
- 5.3. 音声ガイダンスの途中操作を可能にする
- 5.4. その他の項目を設定する
- 5.5. オペレーターへの接続時間を短くする
- 5.6. 利用前後で顧客の振り分けをする
- 5.7. 利用者の認証設定をする
- 6. コールフローを構築後のポイント
- 6.1. コールフローの分析・改善を行う
- 6.2. 様々なチャネルを用意することも重要
- 7. まとめ
コールフローとは?
コールフローとは、顧客からの電話を受ける際のフロー図であり、適切なオペレーターに振り分けるために役立つものです。
顧客からの問い合わせ内容は多岐に渡るため、特定のスタッフだけで対応しようとすると、サービスの質が低下してしまいます。
上記のような問題が起きないように、コールセンターでは、
- 商品についての質問はA
- クレームはB
といったように、専門知識を有するスタッフが各分野を分担し、対応できる体制になっていることが多いです。
一般的には、コールフローには、対応不可の場合の代替策や営業時間外の対応なども取り決めておきます。
したがって、コールフローを活用することで、顧客に適切かつ迅速な対応が提供され、満足度の向上につながるというわけです。
コールフローを構築する重要性
最近では、顧客ニーズの多様化に合わせて企業のサービスや製品の種類が増えたことにより、それに対する問い合わせも複雑になってきました。
そのため、限られたスタッフが全ての内容に対応するのは難しいのが現実です。
そこで、問い合わせごとにスムーズに担当者に振り分けられる「コールフロー」を構築する重要性が高まってきています。
担当者にスムーズに振り分けることで、迅速かつスピーディに対応可能になるのです。
コールフローを構築していない場合は、顧客の離脱やたらい回しに繋がりやすくなり、それがクレームに繋がってしまいます。
したがって、コールフローを構築することは、非常に重要なのです。
コールフローを構築するメリット
コールフローを構築するメリットをご紹介します。
顧客ロイヤルティに繋がる
コールフローを構築することで、顧客が迅速かつ適切な対応を受けられるため、顧客の不満やストレスを軽減可能です。
結果、顧客は企業に対する信頼度が高まり、継続的な利用に繋がります。
上記のように、顧客の問い合わせ内容を迅速に解決できれば、顧客は企業に対して高い評価をし、ロイヤルティにつながるというわけです。
顧客満足度の向上に繋がる
コールフローを構築することで、顧客が求める情報や解決策を迅速かつスムーズに提供可能です。そのため、顧客はより満足度の高いサービスを受けられます。
顧客満足度の向上に繋げることができれば、企業の評判やブランド価値を高められるのです。
コールフローの構築に必要なシステム
コールフローに必要なシステムは以下の通りです。
IVRシステム
IVRシステムは、顧客が問い合わせ内容に合わせて、自動音声システムにプッシュ操作をすることで、適切なオペレーターにつながるシステムです。
たとえば、自動音声システムが「1はご契約に関するお問い合わせ、2は料金に関するお問い合わせ、3は商品の不具合に関するお問い合わせです」と案内することで、顧客が適切に操作できます。
IVRシステムによって、オペレーターが対応する問い合わせ内容が明確化され、効率的な対応が可能になるというわけです。また、担当者の負荷も軽減され、効率化の向上にもつながります。
ACDシステム
ACDシステムは、事前に定められたルールに従って、コールセンターにかかってくる問い合わせを最適なオペレーターに自動的に振り分けるシステムです。
オペレーター同士の負荷を均等に分散し、効率的な業務運営が可能となります。
したがって、ACDシステムはコールセンターにおける業務改善のために必要なシステムの1つです。
コールフローを構築する際の注意点
コールフローを効果的に活用するためには、いくつか注意点があります。
- 振り分け階層の増やしすぎに注意する
- 自動音声システムは端的に設定する
- 音声ガイダンスの途中操作を可能にする
- その他の項目を設定する
- オペレーターへの接続時間を短くする
- 利用前後で顧客の振り分けをする
- 利用者の認証設定をする
それぞれの注意点を詳しく説明します。
振り分け階層の増やしすぎに注意する
振り分け階層は、適切な数に設定することが重要です。階層が多すぎると、顧客が迷子になってしまい、ストレスの原因となります。
具体的には、カテゴリーは大まかに分けて、3つ程度にすると、よりシンプルで使いやすいです。
自動音声システムは端的に設定する
自動音声システムは、簡潔かつ明瞭に設定することが重要です。顧客が音声の指示を聞いている時間が長いと、イライラしてしまいます。
顧客の時間を無駄にせず、すばやくオペレーターにつながるよう工夫しましょう。
音声ガイダンスの途中操作を可能にする
音声ガイダンスの途中操作を可能にすると、顧客が意図しない操作をしてしまうリスクを回避できます。
途中操作の設定のほか、途中操作が可能な旨をアナウンスする設定を行うと、より効果的です。
その他の項目を設定する
コールフローを設定する際には、その他の項目を設定するようにしましょう。必ずしも全ての問い合わせ内容が、予想されるものだけとは限らないからです。
その他の項目を設定することで、より顧客のニーズに合ったコールフローを構築できます。
オペレーターへの接続時間を短くする
顧客から電話がかかってくるとき、接続するまでの待ち時間が長くなってしまうと、非常に強いストレスを感じます。したがって、コールフローを設計する際には、オペレーターへの接続時間をできるだけ短くする・感じさせるシステムを作りましょう。
実際、鳥取市が令和2年に行った『コールセンターによるアンケート』によると、対応に不満を感じた点として「なかなかつながらなかった」ことが第一位にあがっています。
顧客の不満を増やさないよう、待ち時間が短くなる・短く感じさせられるように工夫しましょう。たとえば、顧客の待ち時間に音声ガイダンスや穏やかな音楽を流すと、待ち時間を短く感じさせられます。
利用前後で顧客の振り分けをする
コールフローを構築する際には、サービスや商品を利用した前か後かで、振り分けできるようにしましょう。
問い合わせ内容は、利用前後で大幅に変わってきます。たとえば、初めてのお客様は初回対応担当者に接続し、問い合わせ内容によっては専門的なオペレーターにつなげると良いでしょう。
上記のように、利用前後で顧客の振り分けるフローにすると、顧客がスムーズに問題を解決でき、満足度が向上します。
利用者の認証設定をする
利用者の認証設定とは、コールセンターやカスタマーサポートセンターにおいて、顧客の身元確認を行うことです。セキュリティを確保し、個人情報が漏洩するリスクを回避できます。
コールフローを構築後のポイント
コールフローを構築するためには以下の2つのポイントが重要です。
- コールフローの分析・改善を行う
- 様々なチャネルを用意することも重要
それぞれのポイントを解説します。
コールフローの分析・改善を行う
コールフローを構築した後も、コールセンターの改善という目的から、コールフローの分析・改善を定期的に行うことが重要です。
コールフローにおける利用状況や問い合わせ内容の統計データを収集し、分析することで、改善すべきポイントを見つけられます。
様々なチャネルを用意することも重要
チャネルとは、企業と顧客が繋がれる場所を意味します。
コールセンターにおいては、電話以外のさまざまなチャネルを設ける「オムニチャネル化」が必要不可欠です。実際、顧客は場所や状況によって異なるチャネルを利用したがる傾向にあります。
したがって、
- Webサイト
- Webフォーム
- Eメール
- チャット
- ビジネスLINE
など、顧客ニーズに合わせて複数のチャネルを設けましょう。
まとめ
コールセンターにおいて、コールフローの設計や関連システムの導入は非常に重要です。コールフローを構築することで、オペレーターの負担を軽減し、顧客満足度の向上につながります。
複雑なサービスや商品の出現により、今後ますますコールセンターの役割が大きくなると考えられますが、競合との差別化を図るためにも、コールフローの設計や関連システムの導入は必要不可欠です。
ただし、顧客のさまざまなニーズに応えていくためには、コールセンターだけでなく顧客が利用しやすい様々なチャネルを用意する必要もあります。コールフローに加えて、オムニチャネル化の整備も行い、顧客の多様なニーズに応えていきましょう。
また、コールフローの設計だけではなく、オペレーターのトレーニングや品質管理も欠かせません。顧客への正確・迅速な対応は、企業の信頼性を高め、リピーターの獲得につながります。
コールセンターは常に改善を続け、顧客目線でのサービス提供を心がけることが重要です。