コールセンターにおけるKPIの設定項目は?設定ポイントや重要性を解説

コールセンターの業務を効率化し、顧客もスタッフも満足できる環境を整えるためには、正確な評価基準が必要です。
そこで重要となってくるのが、評価基準である「KPI」です。
本記事では、コールセンターで活用できるKPIを大きく4つに分けてご紹介します。KPIを設定し正確にモニタリングをすれば、チームの成果を可視化し、サービスの改善につなげられます。
KPIの設定や活用方法についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

コールセンターにおけるKPIとは?

そもそもKPIとは

KPIとは、Key Performance Indicatorsの略であり、組織の目標達成に必要な業績評価指標のことです。組織の目標に沿ってKPIを設定し、数値化することで、業務の改善点を把握し、効率性を高められます。

コールセンターにおける具体的なKPIは、以下の5つです。

  1. 平均通話時間
  2. 平均待ち時間
  3. 問い合わせ件数
  4. 解決率
  5. 不適切な振る舞い数

上記にKPIを設定し数値化することで、改善点が把握でき、具体的な行動計画へ落とし込めます。

コールセンターにおけるKPI設定の重要性

コールセンターにおけるKPI設定の重要性は、主に以下の2点です。

  1. 目標設定(KGI)の達成に繋がる
  2. 問題点と解決方法が見える化する

それぞれ詳しく説明します。

目標設定(KGI)の達成に繋がる

コールセンターにおけるKPI設定は、目標設定(KGI)の達成につながる大変重要なものとされています。

目標設定(KGI)とは、売上高の増加・顧客満足度の向上など、企業が設定する戦略的な目標を評価する指標です。目標にKPIを設定すれば、業務の進捗状況や成果を数値化できるようになり、目標達成に向けての戦略的な計画を立てられます。

たとえば、目標設定(KGI)が「お客様満足度の向上」であれば、コールセンターにおけるKPIである「不適切な振る舞い数の削減」「問い合わせにかかる時間の短縮」などを設定・数値化・改善策の実行を行うことで、お客様満足度の向上につなげられるというわけです。

問題点と解決方法が見える化する

コールセンターにおけるKPI設定は、問題点と解決方法を見える化するためにも非常に重要です。

たとえば、KPIに「平均待ち時間」が設定されていれば、問題点として待ち時間が長いことが明確になります。問題点が明確になれば、それに対する解決方法として、オペレーターの人数を増やす・オペレーターのスキルアップを図るなどの対策を考えることが可能です。

上記のように、KPIを設定することにより、問題点が見える化され、適切な改善策を導くことができます。したがって、KPI設定は、コールセンター運営においては欠かせない要素といえます。

コールセンターにおけるKPIの設定項目

コールセンターにおけるKPIの設定事項には、主に以下の3つがあります。

  1. 応対品質のKPI
  2. 顧客満足度のKPI
  3. 生産性・効率性のKPI

それぞれのKPIについて深掘りしていきましょう。

応対品質のKPI

応対品質のKPIは、コールセンターにかかってきた問い合わせに対して、以下の項目に沿って測定します。

  • 応答率
  • 放棄率(放棄呼率)
  • サービスレベル(SL)
  • 平均応答速度(ASA)

それぞれの項目を解説します。

応答率

応答率は、コールセンターにかかってきた電話にどの割合で応答できたかを示す指標です。たとえば、100件の電話に対して90件応答できた場合、応答率は90%となります。

【計算式】

応答件数÷総コール数×100=応答率(%)

放棄率(放棄呼率)

放棄率(放棄呼率)は、コールセンターにかかってきた電話にどのくらいの割合で、応答できなかったかを示す指標です。たとえば、100件の電話に対して10件の通話に応答できなかった場合、放棄率は10%となります。

【計算式】

応答できなかった件数÷総コール数×100=放棄率(%)

サービスレベル(SL)

サービスレベル(SL)は、コールセンターにかかってきた電話に対して、目標時間に対応できた件数がどのくらいかを示す指標です。たとえば、100件の電話に対して20件目標時間内に対応できた場合、SLは20%となります。

【計算式】

目標時間内に対応できた件数÷総コール数×100=SL率(%)

平均応答速度(ASA)

平均応答速度(ASA)は、コールセンターにかかってきた電話に応答するまでの平均時間を示す指標です。たとえば、10件の電話に対して合計100秒で対応した場合、平均応答速度は10秒となります。

【計算式】

応答するまでの時間÷総コール数=平均応答速度

顧客満足度のKPI

顧客満足度のKPIには、

  1. 顧客満足度(CS)
  2. 顧客推奨度(NPS)

の2つがあります。

顧客満足度(CS)

顧客満足度(CS)は、顧客が商品やサービスに対してどのくらい満足しているかを数値化する指標です。

顧客へのヒアリングやアンケートから調査され、段階的に顧客の満足度を評価して数値化します。サービスの改善に役立つ指標です。

顧客推奨度(NPS)

顧客推奨度(NPS)は、顧客が商品やサービスに対して、どのくらい信頼や愛着があるかを数値化する指標です。

NPSを見定める方法は至ってシンプルで、具体的には、「このサービス・商品をどのくらい身近な人に勧めたいですか」というアンケートをとる方法があります。

アンケートは、0〜10までの点数方式にして、推奨者=9〜10点・批判者=0〜6点と分類し、下記の計算式に当てはめてみてください。

【計算式】

「推奨する人の割合(%)」-「批判する人の割合(%)」=顧客推奨度(NPS)

生産性・効率性のKPI

生産性・効率性のKPIには、以下の5つの指標があります。

  1. 稼働率
  2. 平均処理時間(AHT)
  3. 平均通話時間(ATT)
  4. 平均後処理時間(ACW)
  5. コストパーコール(CPC)

詳しく解説します。

稼働率

稼働率は、オペレーターの労働時間のなかで、顧客対応に費やした時間を割合で示す指標です。稼働率が高いほど、オペレーターが効率的に業務に対応していることが分かります。

ただし、稼働率が100%に近づくと、オペレーターの休憩する時間がなくなっていることが考えられるため、負担が多すぎないか注意して確認しましょう。

【計算式】

「待機時間+通話時間+後処理時間」÷給与支払い時間=稼働率(%)

平均処理時間(AHT)

平均処理時間(AHT)は、顧客にかかった(通話〜後処理まで)平均時間です。

【計算式】

「通話時間+後処理時間」÷ 総コール数=平均処理時間(秒)

平均通話時間(ATT)

平均通話時間(ATT)は、顧客との通話部分のみにかかった平均時間です。

【計算式】

通話時間の合計数÷コール総数=平均通話時間(ATT)

平均後処理時間(ACW)

平均後処理時間(ACW)は、通話の後処理のみにかかった平均時間です。

【計算式】

後処理にかかった時間÷総コール数=平均後処理時間(ACW)

コストパーコール(CPC)

コストパーコール(CPC)は、顧客1人に対する電話対応にかかるコストのことです。

【計算式】

コールセンターにかかっているコスト÷処理した件数=コストパーコール(CPC)

従業員マネジメントのKPI

従業員マネジメントのKPIは以下のとおりです。

欠勤率

欠勤率は、オペレーターが予定していた勤務日数において、どのくらい欠勤したかの割合を示す指標です。欠勤率が高くなると、他のオペレーターの負担が増加し、離職率増加にもつながります。欠勤率が高い場合は、職場環境の悪さやストレスなどの原因を探って解決していきましょう。

【計算式】

「欠勤数÷予定勤務数」×100=欠勤率(%)

離職率

人手不足が深刻なコールセンター業界では、離職率を低くし、定着率の高い職場環境を整備することが求められます。離職率の動向にも注意を向けましょう。

【計算式】

「離職者数÷労働者数」×100=離職率(%)

コールセンターにおけるKPI設定のポイント

コールセンターにおけるKPI設定のポイントは以下の3つです。

  1. 目標は具体的に設定する
  2. PDCAサイクルを回す
  3. 実現性のある目標設定が重要

ポイントを押さえて、より効果的な活用をしましょう。

目標は具体的に設定する

KPIを設定するときは、目標を具体的に設定しましょう。目標が漠然としていると、達成度合いが判断しにくくなります。具体的な数字や期限を設けるのがおすすめです。

PDCAサイクルを回す

KPIを設定するときは、PDCAサイクルをしっかり回しましょう。

目標を設定したら、

  1. 実際に行動を開始
  2. 達成状況を評価
  3. 必要に応じて改善点を洗い出す
  4. 再度目標設定に戻る

といったサイクルを回すために、具体的な行動計画を立てると良いでしょう。

実現性のある目標設定が重要

KPIを設定する際には、実現性のある目標設定をすることが重要です。目標が高すぎて達成できないものでは、社内のモチベーションが低下してしまいます。

現場の状況を考慮したうえで、実現可能な目標を設定しましょう。

まとめ

コールセンターでよく使われるKPIとその活用方法などを解説しました。コールセンターの業務を効果的に改善するためには、適切なKPIの設定が不可欠です。

しかし、KPIは企業や業務の性質によって異なるため、実際にそのKPIを達成する現場社員の意見も取り入れながら、目標達成に適切なKPIを設定する必要があります。

業務を数値化して定期的にモニタリングすることで、コールセンターの業務を見える化し、効果的な業務改善へつなげましょう。