コールセンターのCTIシステムとは?主な機能や導入のメリットを紹介

近年、働き方改革によって、在宅ワークの導入や快適な職場環境の構築が求められています。コールセンターにおいても、スタッフが働きやすく、高いモチベーションで顧客対応にのぞめる環境づくりは非常に重要です。
特に、コールセンター業界は離職率が高く、経験を持った既存スタッフの離職を防ぐことは、人材不足に悩むコールセンターにおいて急務といえるでしょう。
本記事では、コールセンターの業務効率化、スタッフの負担軽減に効果的な、CTIシステムの導入について、必要性やメリット、デメリットを解説しています。
コールセンターにCTIシステムを導入したいが、どういったものなのか分からないという方は、本記事を参考に導入を検討してください。

目次

コールセンターシステム「CTI」とは?

CTIとは、Computer Telephony Integrationを略した単語で、電話回線とコンピューターを連携させるシステムのことを指します。
CTIシステムを導入することで、顧客からの着信があったときに顧客の情報を自動的にポップアップ表示することや、通話内容の録音、自動音声応答が可能です。
CTIシステムは、CRMなどの顧客情報管理システムと連携させることで、より便利で強力なサポートツールになります。

コールセンターにCTIシステムを導入する必要性

コールセンターにCTIシステムを導入したほうがよい理由は、スタッフの業務が効率化され、さまざまなメリットが得られるからです。
コールセンター業界は、以前から離職率が高く、新規の人材が採用しにくいことが問題視されている業界です。新規の人材を採用しても早期で退職する人が多く、会社によっては教育を担当する人材そのものが不足しており、研修を行うことが困難な状況であることも少なくありません。
離職率が高い理由は、次のことが原因とされています。

  • 膨大な業務量によるストレス
  • 顧客からのクレームに対応するストレス
  • 不十分な研修で現場に配属されるなどの職場環境
  • 覚えるべき知識の多さやプレッシャー

上記のように、さまざまな理由から人材を定着させることが難しく、多くの担当者が人材不足に悩んでいます。そこで、おすすめなのがCTIシステムの導入です。
CTIシステムを導入し、CRMなどの顧客情報管理システムを連携させることによって、データの検索や登録、報告作業、問い合わせ対応など、多くの業務が自動化できます。
これまで手動で行っていた業務が自動化されることで、スタッフの業務負担が軽減され、精神的なストレスを減らせるでしょう。また、多忙で新人に仕事を教える余裕がないという現場においても、CTIシステムを導入し業務負担を軽減できれば、人材育成の余裕が生まれ、少ない人数でも運営できることから、人手不足への対策としても期待できます。

業務効率化に繋がる

CTIシステムの導入によって得られるもっとも大きなメリットが、業務の効率化です。今まで手動で行っていた作業や、スタッフが対応していた作業を自動化することで、時間的・人的なコストを大幅に節減できます。
たとえば、CTIシステムには通話録音機能があるため、顧客とのやり取りを録音しておくことで、トラブルが発生した場合でも、すぐに通話内容を確認できます。他にも、スタッフの稼働状況を確認するためのモニタリング機能なども備わっているため、手が空いているスタッフに優先的に仕事を割り振ることで効率よく業務を進められます。

顧客満足度の向上が期待できる

CTIシステムの導入により、作業効率が向上するため、スタッフは顧客を待たせずに問い合わせに対応できます。個人情報を確認するために保留にすることや、以前聞いた情報を再度確認することがなくなり、顧客もストレスを感じにくくなるでしょう。結果的に、顧客満足度の向上が期待できます。

コストの削減が見込める

CTIシステムの導入により、コストの削減が見込めます。たとえば、着信をスタッフに素早く割り振ることで、スタッフの手が空いてしまう時間を最小限に抑えられるため、スタッフの生産性を向上できます。
さらに、自動音声応答を活用すれば、スタッフによる問い合わせ対応を減らせるだけでなく、顧客満足度の向上も見込めます。
また、繁忙期において、問い合わせ増加に対応するためにスタッフを増員する必要がなくなるため、人的コストを削減できることに加え、多くの作業が自動化されるため、時間的なコストも削減できます。

サービス品質の改善に繋がる

CTIシステムには通話録音機能があります。以前問い合わせをしたことがある顧客に対しては、通話記録を振り返ることで個人情報の確認ができます。

通話履歴は、同じことを何度も質問することを防ぐためにも役立ちます。また、顧客とトラブルになった場合には、通話記録を振り返ることでトラブル防止に活用できるでしょう。
通話履歴を振り返れば、話し方や対応方法の確認もできます。たとえば、顧客がよく問い合わせる内容や、不満を持つ点などを把握しておくことで、サービス品質の改善につながるでしょう。通話履歴を分析することで、顧客のニーズに合わせたサービスの提供や、新人スタッフの教育、顧客に対するアフターケアにも役立てられます。

優先度別に電話対応の振り分けができる

CTIシステムは、電話の着信を自動的に振り分けられます。手の空いているスタッフに優先的に着信を割り当てたり、専門的な知識やスキルを持つスタッフにつながるように着信を割り当てたりできるため、新人で知識がないので答えられない、専門外なので答えられないというように、顧客をたらい回しにすることがなくなります。

テレワークでの対応ができる

CTIシステムは自社のサーバーに設置するだけでなく、クラウド上で利用できるものも数多く存在しています。クラウド上で利用できることで、スタッフの働く場所に問わず問い合わせ対応ができるため、テレワークや在宅勤務の導入が可能です。
さらに、働く場所を問わないため、全国からスタッフを募集できるようになり、人材不足の解消も期待できるでしょう。CTIシステムをクラウド上で利用することにより、企業は地理的な制約を受けずに、優れた人材の獲得ができます。

コールセンターにCTIシステムを導入するデメリット

CTIシステムは、多くの便利な機能を持ち、ビジネスにとって大きなメリットをもたらします。しかし、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、そのうちのふたつを紹介します。

  • 導入費用がかかる
    CTIシステムを導入するには、大きな費用が必要な場合があります。たとえば、自社内でシステムを構築する場合は、環境を整えるための設備の準備や、サーバーの維持管理費が必要です。

    クラウド上でCTIシステムを利用する場合でも、月額の利用料が発生することがあります。費用がかかるとはいえ、CTIシステムを導入することで、ビジネスの生産性や顧客満足度を向上できるため、費用対効果を考えた上で利用を検討しましょう。
  • 導入までに時間がかかる
    CTIシステムの導入においては、スタッフが操作に慣れ、機能を使いこなせるようになるまでに、時間がかかることがあります。操作や機能をレクチャーする人材を育成する必要もあるため、追加費用が必要になる場合もあります。こうした人材が用意できない場合は、オプション費用を払うことで専門知識を持った開発会社のスタッフがレクチャーを行ってくれる場合もあるため、利用を検討してみてください。

コールセンターCTIシステムの主な機能

コールセンターで効率的な業務を実現するには、CTIシステムが必要不可欠です。CTIシステムが提供する機能は多岐にわたり、具体的には以下があります。

ポップアップ機能

CTIシステムには、入電した顧客の情報を自動的に表示する機能があります。スタッフは、顧客データベースから手動で情報を探す必要がなくなり、迅速な顧客対応ができます。
ポップアップウィンドウには、購入履歴や注文履歴などの顧客情報が表示されるため、スタッフは顧客に対してより個別化されたサービスを提供でき、顧客満足度の向上につなげられます。ポップアップ機能は、スタッフの業務負荷を軽減するうえでも大きく役立つでしょう。

着信履歴機能

着信履歴機能は、混雑などでスタッフが対応できなかった着信の履歴を残しておく機能です。履歴を残しておくことで、のちほどコールバックするなどの対応をするときに役立ちます。たとえば、混雑でスタッフが電話に出られない場合や、応対に時間がかかる場合に便利です。
顧客からの問い合わせが多い場合でも、履歴を確認することで、的確な対応ができます。履歴には、電話番号や日時などの情報が記録されるため、必要に応じてデータ分析にも活用できます。

電話制御機能

電話制御機能は、スタッフのスキルに応じて電話を割り振る機能です。スタッフの負荷を均一化し、顧客サービスの質を高められます。たとえば、難しい顧客の対処はベテランスタッフに割り当て、新人スタッフに基本的な問い合わせの対応を割り振るといった使い方ができます。
このように、電話制御機能は、スタッフのスキルに応じた電話割り当てによって、業務の効率化と顧客満足度の向上が期待できます。

通話録音機能

通話録音機能とは、電話でのやりとりを記録し、あとで聴き直せる機能です。この機能を使えば、スタッフは顧客とのやり取りや対応結果、問い合わせの傾向を把握できます。商品やサービスの改善にも役立ちます。たとえば、スタッフが顧客からの要望を聞き落としていた場合でも、通話録音機能を使ってあとで確かめられます。
また、録音した内容を分析し、対応の改善点や優れた点を見つけ出すことで、新人研修の教材としても活用できます。

予測発信機能

予測発信機能は、プレディクティブ発信とも呼ばれ、リストに登録した顧客に対してシステムが自動的に複数回の発信を行い、応答があった場合のみスタッフとつながる機能です。
おもにコールセンターから顧客に電話をかけるアウトバウンド業務で活用できる機能で、スタッフは顧客との会話だけに集中でき、アウトバウンド業務の効率を上げるために役立ちます。

モニタリング機能

モニタリング機能は、コールセンターの管理者が、スタッフの業務を監視するためのものです。スタッフの通話、待機状況やトラブルの状況などが把握できるため、生産性の向上や顧客サービス品質の向上に役立ちます。

IVR機能

IVRとは、自動音声で顧客の問い合わせに対応する機能です。ガイダンスが流れることで、顧客はガイダンスに沿って、要件に合う番号をプッシュするだけで、適切なスタッフと通話できます。スタッフが忙しくて電話に出られないときでも、顧客は長時間待たされることなく問い合わせが可能です。
IVRは、顧客が電話で問い合わせをする際に、よくある質問に対する回答や、その他の情報を提供するのにも役立つため、スタッフの負担軽減も期待できます。

コールセンターCTIシステムと連携できる主なシステム

コールセンターCTIシステムは、さまざまなシステムと連携できます。連携できる主要なシステムには以下のものがあります。

CRM連携

CTIシステムとCRMを連携させることで、より効率的な顧客対応が可能です。CRMは顧客情報を管理するシステムで、CTIシステムと連携することで顧客情報の一元管理や、履歴の閲覧、問い合わせの照会などを、シームレスに行えます。
たとえば、顧客が問い合わせをしてきた際、過去の問い合わせ履歴をCTIシステムから簡単に参照できます。履歴を参照することで、顧客にとってより一層満足のいく回答ができます。アウトバウンドコールにおいても、CRMから顧客情報を取得すれば、よりパーソナライズされたアプローチが可能です。さらに、顧客情報の一元管理により、複数の部署や拠点での顧客情報の共有も簡単です。

チャットボット連携

チャットボットとコールセンターCTIシステムを連携させることにより、自動応答の精度が向上し、24時間対応も可能になります。チャットボットが解決できない問題については、人間のスタッフにつなぐことが可能なため、顧客対応品質も低下しません。
また、チャットボットで問い合わせが解決できることで、スタッフは業務負担が軽減されるだけでなく、別の業務に集中できます。チャットボットとコールセンターCTIシステムを連携させることにより、企業は顧客対応品質を維持しながら、より高度なサービスを提供できるようになるでしょう。

音声認識サービス

音声認識によって、顧客とスタッフの発言内容を自動的にテキスト化する機能です。顧客対応をしながら、やり取りの内容を正確に記録することは困難ですが、音声認識で自動的に書き起こすことで、通話中のやり取りの内容を簡単に記録できます。
リアルタイムで書き起こすことで、言った・言わないのトラブルを防ぐことにも役立ちます。

コールセンターCTIシステムの形態別種類

コールセンターCTIシステムには、以下の2種類があります。どちらも長所・短所があり、どのようなコールセンターなのかによって導入すべき形態は異なります。

クラウド型システム

クラウド型は、サーバーやハードウェアを自社で保有する必要がありません。そのため、機材を用意するコストや、維持管理するコストがかからない点がメリットです。
クラウド型は、事業規模に合わせて機能を拡張でき、適切な契約プランを選択することでコスト削減にもつながります。また、クラウド型であれば、スタッフの働く場所に関係なく利用できるため、在宅ワークを取り入れることも可能です。
ただし、クラウド上で業務するため、スタッフの自宅パソコンなどからアクセスした場合、情報漏洩などのセキュリティリスクがあります。
クラウド型を選ぶ場合は、2段階認証やマスキング機能など、高いセキュリティを備えたシステムを導入するとよいでしょう。

オンプレミス型システム

オンプレミス型システムとは、自社内でサーバーやハードウェアを保有して運用するシステムです。在宅勤務などは取り入れにくいですが、自社で管理できるため、クラウド型よりもセキュリティが高いことが特徴です。

また、自社の環境で構築しているため、独自機能の追加やカスタマイズが行いやすいというメリットもあります。ただし、環境構築に技術と手間が必要である点や設備の導入、維持するための費用が発生する点には注意が必要です。

コールセンターCTIシステムの業務別種類

コールセンターCTIシステムには、業務に応じて以下の2種類があります。

インバウンド型システム

インバウンド型システムとは、顧客からの問い合わせに対応するために必要な機能を備えたシステムです。たとえば、着信電話の転送機能によって、顧客の問い合わせを適切な担当者に素早く転送できる機能や、チャットボットによる24時間対応など、できるだけ早く問題を解決したい顧客のニーズに応じた機能も備えています。

アウトバウンド型システム

アウトバウンド型システムとは、企業側から顧客にアプローチするために必要な機能を備えたシステムです。電話帳の管理機能や予測発信機能など、効率的に顧客に電話をかける機能が用意されています。

コールセンターにCTIシステムの導入がおすすめのケース

以下のケースのような場合は、CTIシステムの導入が特におすすめです。

在宅勤務時にも対応したい場合

コールセンターは、電話とコンピューターがあればどこでも業務ができるため、在宅勤務を取り入れやすい業界といえます。在宅勤務は、スタッフが自分の好きな場所で働けるため、ストレスの軽減や仕事のモチベーションアップにつながります。たとえば、家庭の事情で自宅にいる必要がある場合や、通勤時間が長いスタッフにとっては、在宅勤務は非常に魅力的な選択肢です。
クラウド型のCTIシステムを導入すれば、スタッフは在宅勤務でも、必要なデータにアクセスして業務できます。クラウド型のCTIシステムは、働き方改革を進める場合においても効果的です。

大規模なコールセンターの場合

大規模なコールセンターでは、多くの顧客からの問い合わせに対応する必要があります。CTIシステムを導入すれば、問い合わせ対応の自動化や顧客情報の一元管理などが可能になり、業務の効率化が期待できます。

コールセンターのCTIシステムを導入する際のポイント

CTIシステムを導入する際は、下記のポイントをチェックしましょう。

業務内容にあった形態を選ぶ

コールセンターの業務内容に応じて、インバウンド型かアウトバンド型かを選択しましょう。それぞれ保有している機能が異なる場合があるため、自社に合った機能が備わっているか確認するようにしましょう。

導入形態のメリット・デメリットを比較する

導入形態には、クラウド型とオンプレミス型があります。クラウド型は、サーバーを自社で保有せず、インターネット上にあるサーバーを利用する方式です。一方、オンプレミス型は、自社でサーバーを保有し、それを利用する方式です。
クラウド型は、初期費用が抑えられる一方で、セキュリティ面に注意が必要です。オンプレミス型は、セキュリティ面において優れていますが、初期費用が高くなります。

既存のシステムとの連携性を確認

CTIシステムは、CRMなど既存のシステムと連携することで、より便利に活用できます。しかし、システムごとに連携できる対象が異なるため、導入前に既存のシステムと連携できるか確認が必要です。

導入後のサポート体制をチェック

CTIシステムを導入した後に、運用やトラブル対応などのサポートが受けられるかチェックしましょう。また、災害などが発生した場合に、システム自体がダウンする可能性も考えられます。システムの稼働率を確認しておくことで、有事の際も安心して業務が継続できるでしょう。

ランニングコストを確認する

CTIシステムの導入費用だけでなく、ランニングコストも確認することが必要です。クラウド型の場合、月額契約を採用しているシステムが多く、毎月一定額の費用が発生します。
契約プランや使っている機能、ライセンス数などによって金額が異なるため、料金シミュレーションなどを活用して、導入前に確認しておきましょう。

スタッフの使いやすさをチェックする

現場のスタッフがシステムを使いやすいかどうかは、もっとも大事な要素です。操作方法が難しく、なかなか定着しない場合は、オプションで専門家がスタッフへの導入指導を代行してくれるシステムも存在するため、こういったシステムを利用するとよいでしょう。

まとめ

本記事では、コールセンターにCTIシステムを導入することで得られるメリットや、導入時のチェックポイントなどをご紹介しました。
CTIシステムは、インバウンド型、アウトバウンド型によって機能が異なるため、自社のコールセンターのメイン業務に合うタイプを選択しましょう。
また、クラウド型、オンプレミス型、どちらにも長所・短所があります。特徴や自社に必要な機能をしっかり把握したうえで、働くスタッフが快適に業務できるものを選びましょう。クラウド型を選ぶ場合、月額費用が発生します。契約プランや使う機能によって金額が変わるため、予め確認してください。
体験プランが用意されている場合もあるため、いきなり導入するのが不安な場合は、まず体験利用するとよいでしょう。

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