コールセンターシステムCRMとは?導入するメリット・選び方を解説
CRMは、コールセンターのスタッフの業務負担を軽減し、顧客の待ち時間を減らすことで顧客満足度の向上も期待できるコールセンターシステムです。
CRMの導入にあたっては、何ができるのか、自社に必要な機能は何かなどを考えることが大切です。本記事では、CRM導入でできることや、メリット、選び方などを具体的に解説します。
- 1. コールセンターシステム「CRM」とは?
- 2. コールセンターにCRMを導入するべき理由
- 3. コールセンターのCRMメイン機能
- 3.1. 顧客情報の管理
- 3.2. 対応履歴の管理
- 3.3. FAQ作成
- 3.4. 配信機能
- 3.5. 問い合わせ管理
- 3.6. データの分析・集計
- 4. コールセンターにCRMを導入するメリット
- 4.1. 【企業側】メリット
- 4.1.1. 顧客満足度の向上
- 4.1.2. スタッフの知識強化
- 4.1.3. 問題点の把握・改善
- 4.1.4. 一元管理による対応の素早さ
- 4.1.5. クレームの軽減
- 4.2. 【スタッフ側】のメリット
- 4.2.1. 顧客対応のストレス軽減
- 4.2.2. 情報の共有・属人化の解消
- 4.3. 【顧客側】メリット
- 4.3.1. スピードのある対応
- 4.3.2. 問題に対する的確な回答
- 4.3.3. たらい回しの回避
- 5. コールセンターにCRMを導入するデメリット
- 6. コールセンターにCRM導入する際の選び方
- 6.1. 自社にあわせた機能内容か
- 6.2. 顧客接点の対応数の多さ
- 6.3. 機能の拡張が可能か
- 6.4. セキュリティ対策の充実さ
- 6.5. スタッフの操作性の良さ
- 6.6. 導入コスト・ランニングコスト
- 7. まとめ
コールセンターシステム「CRM」とは?
CRMとは、顧客情報や応対履歴をデータとして蓄積できるシステムを指します。このシステムは、受電業務に特化した機能を備えたインバウンド型と、発信業務に特化した機能を持つアウトバウンド型、そして両方の機能を備えた兼用型があります。
最近では、どちらの機能も備えているCRMシステムが多くあり、企業のニーズに合わせた柔軟な導入が可能です。
コールセンターにCRMを導入するべき理由
CRMを導入することで、企業は顧客情報を一元管理でき、顧客に対してより迅速かつ正確な対応が可能です。顧客情報を分析することで、顧客の嗜好や傾向を把握し、マーケティング戦略の改善につなげることも可能です。
CRMを導入し、CTIなどのツールと連携することで、顧客からの問い合わせがあった際に、自動で顧客情報を検索し、画面にポップアップ表示させることや、データの入力から集計、グラフ化までを自動で行えます。
人の手をかけて行っていた作業が自動化できることで、オペレーターの業務負担が軽減されることに加え、業務の効率化も期待できます。
コールセンターのCRMメイン機能
CRMシステムには、さまざまな機能が搭載されているため、オペレーターの業務負担を軽減し、効率のよいコールセンター運営が可能です。
具体的にどのような機能があるのか下記で解説しますので、自社の業務に活かせるか検討してみましょう。
顧客情報の管理
顧客情報の管理機能は、顧客の基本情報(氏名、住所、電話番号など)だけでなく、過去の問い合わせ履歴や購買履歴なども管理できます。過去の問い合わせ履歴を確認することで、顧客の問題や要望に対する解決策をより迅速かつ正確に提供できます。
顧客情報の管理機能は、マーケティング活動にも有効です。顧客の嗜好や購買履歴を分析し、よりターゲットに合ったプロモーションやキャンペーンを企画できます。これにより、効果的なマーケティング活動を行い、顧客獲得や売り上げの増加につなげられます。
対応履歴の管理
対応履歴の管理機能は、オペレーターが顧客に対して行った対応内容を記録できます。この機能により、オペレーターは再度同じ問題が発生した場合に、迅速かつ正確な対応が可能です。
FAQ作成
FAQ作成機能は、よくある問い合わせに対する回答を作成する機能です。FAQを作成してチーム間で共有し、顧客向けに公開することで、顧客が自分で問題を解決できるようになり、オペレーターの負担を軽減できます。
配信機能
配信機能は、顧客に対してメールやSMSなどの情報を配信する機能です。これにより、キャンペーン情報や新商品情報などを効果的に配信できます。
問い合わせ管理
問い合わせ管理機能は、顧客からの問い合わせを一元管理できます。この機能を使うと、顧客からの問い合わせの迅速かつ正確な処理が可能です。
たとえば、どの担当者が、どのようにどこまで対応したかが分かるため、トラブルがあった場合の処置が行いやすくなります。
データの分析・集計
データの分析・集計機能は、問い合わせ件数や問い合わせの傾向などのデータを分析、集計する機能です。システムが自動的に集計してくれることで、オペレーターの手をかけずにデータ分析が可能です。この機能は、顧客サービスの改善のための施策を立てることに役立ちます。
コールセンターにCRMを導入するメリット
コールセンターにCRMを導入することで、企業・スタッフ・顧客それぞれが大きなメリットを得られます。
【企業側】メリット
CRMの導入は、業務効率の改善や、それによる顧客満足度の向上などの効果が期待できます。具体的にどのようなメリットがあるか解説します。
顧客満足度の向上
CRMを導入することで、企業は顧客とのコミュニケーションの改善、顧客満足度の向上、迅速な問い合わせやクレーム対応が可能になるなど、多くのメリットを得られます。
たとえば、CRMのデータ分析機能を活用することで、顧客の嗜好や購買履歴を把握し、顧客に対してより個別化されたサービスを提供できます。
スタッフの知識強化
CRMによって、スタッフは顧客の情報を一元管理できます。このため、スタッフは顧客の傾向や要望をより深く理解でき、適切な対応ができます。CRMには、顧客の状況に合わせたマーケティングを支援する機能も備わっているため、より効果的なマーケティング活動が可能です。
問題点の把握・改善
CRMには、顧客の問い合わせ履歴やクレーム履歴を一元管理する機能があります。この機能を利用することで、顧客が過去に抱えた問題や不満点を正確に把握できます。
一元管理による対応の素早さ
CRMには、顧客情報や問い合わせ履歴を一元管理する機能が含まれています。スタッフは顧客の問い合わせにすばやい対応ができます。CRMを導入することで、前回の対応履歴や対応者、内容などがすべて一元管理できるため、情報確認のための時間や手間のコストを大幅にカットできるでしょう。
クレームの軽減
CRMを導入することで、顧客に関する情報や問い合わせの履歴を一元管理できるため、クレームの軽減が期待できます。たとえば、やり取りの記録漏れや対応忘れといったミスが発生した場合、顧客に何度も同じ質問をしたり、顧客を待たせたりすることになるためクレームにつながります。
CRMは、やり取りを自動で記録し、対応結果や対応状況の記録、エスカレーションなどができるため、こういったミスを無くすことが可能です。
【スタッフ側】のメリット
CRMを導入することで、企業だけでなく、そこで働くスタッフにも大きなメリットがあります。CRMは、スタッフの労働環境改善にもつながるため、企業の担当者は積極的に導入を考える必要があります。
スタッフ側のメリットについて、以下に詳しく説明します。
顧客対応のストレス軽減
CRMは、顧客からの問い合わせをスムーズに処理できるため、スタッフの業務効率を上げ、ストレスを軽減できます。
CRMを導入することで、いままでのように保留にして顧客を一度待たせ、情報を検索する必要が無くなります。スタッフは顧客を待たせるプレッシャーを感じずに業務を行えます。
情報の共有・属人化の解消
CRMを導入することで、顧客情報を一元化できるため、情報の共有が可能になり、属人化を解消できます。たとえば、特定のスタッフが取り扱う顧客情報を個人のPCに保存していた場合、そのスタッフが退職したり、長期にわたって休暇を取ったりすると、他のスタッフがその情報にアクセスできません。その結果、業務をスムーズに進行できない可能性があります。
しかし、CRMを導入することで、顧客情報を一元化でき、特定のスタッフが退職や休暇に入った場合でも、別のスタッフが情報にアクセスできるため、業務の継続性やスムーズな進行が実現できます。
【顧客側】メリット
CRMの導入は、顧客側にとっても多くのメリットがあります。以下に具体的に解説します。
スピードのある対応
CRMを導入していれば、顧客が問い合わせに対して迅速かつ正確な対応ができます。担当者は顧客の情報や履歴を簡単に把握できるため、顧客にとっては少ない待ち時間で対応を受けられます。
問題に対する的確な回答
過去の問い合わせ履歴が分かるため、顧客に対して何度も同じ質問をしなくて済みます。対応履歴や対応結果の情報も一元管理できるため、複雑な事情がある場合でも内容を聞き返す必要がなく、スムーズにやり取りできるでしょう。また、FAQを作成しておけば、よくある質問に対しても瞬時に的確な回答ができます。
たらい回しの回避
CRMシステムを使用することで、顧客をたらい回しにすることを回避できます。顧客の履歴や情報を共有することで、顧客に対するサービスの一貫性が確保できるため、顧客はよりスムーズなサービスを受けられます。
コールセンターにCRMを導入するデメリット
CRMを導入することで、企業、スタッフ、顧客にはさまざまなメリットがあります。CRMは顧客の情報を一元管理できるため、情報が属人化することを防ぎ、対応忘れなどのミスも発生しにくくなります。さらに、スタッフは顧客の問い合わせに迅速に対応できるようになります。
一方で、CRMの導入にはデメリットもあります。たとえば、CRMの導入には初期投資が必要です。導入を考えているコールセンターの規模や、必要としている機能、導入方法などによって費用は変わるため、事前の確認が必要です。
また、CRMシステムの導入には多くの時間が必要です。スタッフのトレーニングやシステムのカスタマイズが必要になる場合もあります。
これらのデメリットは、適切な計画やトレーニングによって軽減できます。自社でのトレーニングが難しければ、CRMを提供している会社が代わりにトレーニングを行ってくれるものもあります。
企業は、CRMの導入について慎重に検討し、導入前の十分な準備が重要です。
コールセンターにCRM導入する際の選び方
CRMをコールセンターに導入する際には、以下のポイントに注意する必要があります。
自社にあわせた機能内容か
CRMは顧客データベースや問い合わせ履歴の確認など、多くの便利な機能を備えています。CTIと連携することで、通話内容の録音や顧客情報の自動ポップアップなどが可能となり、より便利になります。
導入にあたっては、CRMごとに機能に差があったり、連携できるソフトウェアに違いがあったりするため、自社のコールセンターの形態に合わせたシステムの導入が必要です。
顧客接点の対応数の多さ
顧客接点の数が多い場合、CRMのシステムがそれに対応できるかどうかも重要なポイントです。SNS、チャット、メールなど、どのようなチャネルからのお問い合わせに対応するか、自動応答機能は必要かなどによって必要な機能も異なります。
機能の拡張が可能か
将来的に業務が拡大した場合、システムの機能拡張が必要になることがあります。そのため、CRMが機能拡張に対応できるかどうかも確認しておきましょう。
ACDやIVRなどと連携したい場合は、CRM側がそれぞれの機能との連携に対応しているかどうか確認しておきましょう。
セキュリティ対策の充実さ
CRMには個人情報や会社の機密情報が含まれるため、セキュリティ対策がしっかりとされているかどうかも重要です。
システムによっては、外部への流出対策だけでなく、権限の無いスタッフが重要情報を閲覧できないようにするマスキング機能を備えたものや、2段階認証機能を備えたものもあります。
スタッフの操作性の良さ
スタッフがシステムを使いやすいかどうかも、導入前に確認する必要があります。操作性が悪いと、業務の効率が悪くなってしまうからです。
CRMによってはお試しで導入できるものや、スタッフへの操作指導も利用プランに含まれているものなどがあります。
導入コスト・ランニングコスト
CRMの導入コストやランニングコストも、重要なポイントです。事前に料金シミュレーションができるものや、機能ごとに料金プランが変わるもの、アカウント数で料金プランが変わるものなどがあるため、自社の予算に合うか不安な場合は、サービス事業者に問い合わせてみましょう。
まとめ
本記事では、CRMを導入することでどのようなメリットがあるかを解説しました。CRMの導入は、企業・スタッフ・顧客それぞれに大きなメリットがあります。
スムーズに業務ができるようになり、スタッフの業務負担が軽減されることで、顧客にクオリティの高いサービスを提供できます。顧客は、待ち時間なくスムーズに対応してもらえることで、ストレスや不満を感じにくくなります。
しかし、費用面や導入に時間がかかることなど、少なからずデメリットもあります。導入にあたっては、自社のスタイルに合った機能を備えているか、他のアプリケーションと連携できるか、予算的に問題ないか、セキュリティ機能は高いかなどのポイントを確認するとよいでしょう。
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